「ピロリ菌の除菌が保険でできるようになった」というニュースをご存知でしょうか。2013年に慢性胃炎への保険適用が拡大されてから、胃がん予防としての除菌治療がぐっと身近になりました。
ただ、「保険が使える条件は?」「検査ってどうやるの?」「費用はいくらかかるの?」といった具体的なことになると、意外とわかりにくい部分が多いものです。この記事では、ピロリ菌の検査から除菌治療までの流れを、費用面も含めて整理しました。
ピロリ菌とは?胃がんとの関係
ヘリコバクター・ピロリ(通称ピロリ菌)は、胃の粘膜に住みつく細菌です。多くは幼少期に口から感染し、そのまま何十年も胃の中に定着し続けます。ピロリ菌が長期間住みつくことで慢性胃炎を引き起こし、これが萎縮性胃炎、さらには胃がんへと進行するリスクがあります。
日本では特に50歳以上の世代で感染率が高く、現在も推定3,000万人程度の感染者がいると考えられています。一方で、ピロリ菌に感染していない人では胃がんの発生はきわめてまれであることがわかっており、除菌治療は胃がん予防として大きな意義があります。
公的な見解も確認しておきましょう。
保険適用の範囲と公的機関の見解
公的機関の見解
厚生労働省は2013年2月に、ピロリ菌感染による慢性胃炎に対する除菌治療の保険適用を認めました。それ以前は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者に限られていましたが、適用が大幅に拡大されています。保険適用を受けるためには内視鏡検査(胃カメラ)で慢性胃炎の所見を確認することが必須条件です。一次除菌で不成功の場合、薬剤を変更した二次除菌まで保険適用されます。
公的機関の見解
厚生労働省の研究班による調査では、早期胃がんの治療後にピロリ菌を除菌した場合、除菌しなかった場合と比べて3年以内の新たな胃がん発生が約3分の1に減少したと報告されています。ただし、除菌後も胃がんのリスクがゼロになるわけではなく、特に萎縮性胃炎が進行している方は定期的な内視鏡検査の継続が推奨されています。
保険適用の条件や効果がわかったところで、実際の治療の流れを見ていきましょう。
検査・治療で知っておきたいポイント
保険適用には「胃カメラ+慢性胃炎の診断」が必要
ピロリ菌の検査だけを希望しても、それだけでは保険適用になりません。まず内視鏡検査(胃カメラ)を受けて慢性胃炎の所見が確認されること、そしてピロリ菌感染が陽性であることの2つが揃って初めて保険での除菌治療が受けられます。健康診断でバリウム検査しか受けたことがない方は、一度胃カメラの受診を検討してみてください。
除菌治療は1週間の服薬で完了する
除菌治療は、2種類の抗生物質と胃酸を抑える薬の計3種類を、1日2回・7日間服用するという方法で行います。治療終了後4週間以上経ってから検査をし、除菌が成功したかを確認します。一次除菌の成功率は約70〜80%で、失敗した場合は抗生物質の種類を変えた二次除菌が可能です。3割負担で5,000〜6,000円程度が費用の目安です。
除菌後も定期的な胃カメラは続ける
「除菌したから胃がんの心配はもうない」と思ってしまうのは大きな誤解です。除菌前にすでに進行していた胃粘膜のダメージは残っていますし、ピロリ菌以外の要因で胃がんが発生する可能性もあります。特に40〜50代以降で除菌した方は、年1回程度の定期的な胃カメラ検査を継続することをおすすめします。
ピロリ菌除菌でよくある質問
何歳で検査を受けるのがベスト?
専門家の間では、20歳前後での検査が推奨されることもあります。若いうちに除菌するほど、胃がんの予防効果が高いとされているためです。自治体によっては成人式の年齢を対象に無料のピロリ菌検査を実施しているところもあります。
除菌治療に副作用はある?
抗生物質を使うため、下痢や軟便、味覚の変化、腹痛などの副作用が出ることがあります。多くは一時的で、服薬終了後に改善しますが、症状がひどい場合は主治医に相談してください。また、除菌後に胃酸が増えて逆流性食道炎の症状が出ることがありますが、制酸薬で対応可能です。
まとめ
ピロリ菌の除菌治療は、胃カメラで慢性胃炎と診断されれば保険適用で受けられます。1週間の服薬で治療が完了し、費用も3割負担で5,000〜6,000円程度と、比較的手軽に始められる治療です。
胃の不調が気になる方や、まだ胃カメラを受けたことがない方は、これを機に一度検査を受けてみてはどうでしょうか。
コメント