2025年4月から、帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく「定期接種」の対象になったことをご存知でしょうか。ニュースで目にした方も多いかもしれません。ただ、「自分は対象なの?」「ワクチンって2種類あるらしいけど、何が違うの?」「費用はどのくらいかかるの?」といった疑問が次々に出てくるのも無理はないと思います。
私自身、親世代がちょうど対象年齢にあたるため、改めて制度の内容を調べてみました。この記事では、定期接種の対象者や費用のこと、そして2種類あるワクチンの違いについて、できるだけわかりやすく整理しています。
そもそも帯状疱疹ってどんな病気?
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった「水ぼうそう」のウイルスが原因で起こる病気です。水ぼうそうが治った後もウイルスは体の中(神経節)に静かに潜み続けていて、加齢やストレス、疲労などで免疫力が下がったときに再び活動を始めます。これが帯状疱疹です。
日本の成人の約90%以上がこのウイルスを体内に持っているとされていて、つまりほとんどの大人が帯状疱疹を発症するリスクを抱えているということになります。特に50歳を過ぎると発症率が急に上がり、80歳までにおよそ3人に1人が経験すると推定されています。
やっかいなのは、皮膚の症状が治まった後も「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる強い痛みが長期間残ることがあるという点です。50歳以上の患者さんでは約2割にこの後遺症が見られるとの報告もあり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
こうした背景から、ワクチンによる予防が注目されてきたわけですね。では、2025年から始まった定期接種の制度について、公的な情報を確認してみましょう。
公的機関はどう説明している?
公的機関の見解
厚生労働省によると、2025年度から帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づくB類疾病の定期接種に位置づけられました。対象は原則として年度内に65歳になる方で、2025年度から2029年度までの5年間は経過措置として70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳になる方も対象となります。また、60〜64歳でHIVによる重度の免疫機能障害がある方も含まれます。ワクチンは生ワクチンと組換えワクチンの2種類があり、いずれか1種類を接種します。
公的機関の見解
国立感染症研究所が公表しているファクトシート(第2版・2024年改訂)によると、日本の成人のVZV(水痘帯状疱疹ウイルス)抗体保有率は90%以上であり、成人のほとんどが帯状疱疹の発症リスクを有しています。80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されており、合併症である帯状疱疹後神経痛(PHN)は患者の10〜50%に生じるとされています。ワクチンによる予防効果については、組換えワクチンの帯状疱疹後神経痛に対する予防効果が接種後3年時点で9割以上と報告されています。
公的機関の情報からも、帯状疱疹は決して珍しい病気ではなく、ワクチンによる予防が有効だということがわかります。それでは、実際にワクチン接種を検討するうえで押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
ワクチン接種を検討するときに知っておきたい3つのこと
2種類のワクチンの違いを理解する
帯状疱疹ワクチンには「生ワクチン(ビケン)」と「組換えワクチン(シングリックス)」の2種類があります。生ワクチンは1回の皮下注射で済みますが、免疫機能が低下している方には使えません。組換えワクチンは2回の筋肉注射が必要ですが、予防効果が高く持続期間も長いとされています。接種後3年時点での帯状疱疹後神経痛の予防効果は、生ワクチンが約6割、組換えワクチンが9割以上と報告されています。どちらが自分に合っているかは、かかりつけ医に相談するのがおすすめです。
費用負担は自治体によって異なる
定期接種の対象者は接種費用の一部が公費で負担されますが、自己負担額は自治体によって異なります。たとえば東京都荒川区の場合、2025年度の自己負担額は生ワクチンが約4,000円、組換えワクチン(シングリックス)が1回あたり約11,000円(2回で約22,000円)です。任意接種(全額自己負担)だと組換えワクチンで4万円前後かかるケースが多いため、対象年齢の方は定期接種のタイミングを逃さないことが大切です。お住まいの自治体の窓口やホームページで、具体的な金額と手続きを確認してみてください。
「対象年齢」は5歳刻み。該当年度を見逃さない
定期接種の対象は原則65歳ですが、2029年度までの経過措置期間中は5歳刻み(70歳・75歳・80歳…)でも接種の機会があります。定期接種で公費負担を受けられるのは生涯で一度だけなので、自分が対象となる年度を事前に把握しておくことが重要です。「もう少し先でいいか」と思っているうちに対象年度を過ぎてしまうと、全額自己負担での任意接種となります。ご家族が対象年齢の方は、ぜひ一声かけてあげてください。
帯状疱疹ワクチンでよくある質問
過去に帯状疱疹にかかったことがありますが、ワクチンは打てますか?
はい、帯状疱疹にかかったことがある方でもワクチン接種は可能です。帯状疱疹は再発することがあるため、症状が落ち着いた後にワクチンでの予防を検討する価値があります。接種のタイミングについては、かかりつけ医にご相談ください。
50代ですが、定期接種の対象になりますか?
現在の定期接種の対象は原則65歳以上の方です。50代の方は任意接種(全額自己負担)として接種することは可能です。ただし、お住まいの自治体が独自の助成制度を設けている場合もあるので、一度確認してみることをおすすめします。
副反応はどのくらいありますか?
どちらのワクチンでも、注射部位の痛みや腫れといった局所反応が出ることがあります。組換えワクチン(シングリックス)の方が副反応がやや強く出る傾向があり、筋肉痛や疲労感、頭痛などが報告されていますが、多くは2〜3日で改善します。重篤な副反応はきわめてまれです。
まとめ
帯状疱疹ワクチンは2025年4月から定期接種となり、65歳の方を中心に公費負担で接種できるようになりました。ワクチンは生ワクチンと組換えワクチンの2種類があり、それぞれ特徴が異なるため、自分の健康状態に合った選択をすることが大切です。
定期接種の対象年度は5歳刻みで決まっていて、対象となるのは生涯で一度きりです。ご自身やご家族が対象年齢に近い方は、お住まいの自治体の情報をチェックして、接種の機会を逃さないようにしてくださいね。
コメント